零度の華 Ⅱ



今回の件も緑はあたしに力を貸してくれるはず

緑は過去にムショの中にいたことがあり、捕まるということに恐怖と嫌悪を抱いている


緑はあたしをキツく睨みながら低く言い放つ



「1000万。それでで手を打つ」


『分かった。2週間後、再びここにくる』


交渉は成立


緑は終始、あたしを睨んでは恨みを訴えているようだ

あたしに対して憎悪を抱いている人間は、数え切れないほどいるだろうな

そのうちあたしは呪い殺されてしまうかもしれない

呪いを信じないわけではないが、呪いで死ぬことなんて1%もないと思う



まぁ、そんなことはどうでもいいか


あたしは緑にまた来ると言って部屋を出る

亜紀はあたしの後ろを歩き、一言も話さず探偵事務所をでて車の中に乗り込む


家に帰る車の中で、亜紀は口を開いた



「プログレスの情報ならば、ご自分で調べた方が早いのではないんですか」


『いや、今回は頼む方がいい、ハッキングだけじゃ何も情報は得られない。それに、逆にハッキングされて居場所を突き止められるのは困る。あたしもやることがあるからな』


「あの人は駒ということですか。やることって、もしかして......」




走る車の中、あたしは笑みをこぼした