零度の華 Ⅱ




後ろから入ろうとするあたしに亜紀が不思議そうに話しかける


「今の、何ですか?」


『合言葉だ。ココに入る時に必要になる。覚えとけ』


それだけ伝えるとあたしは部屋の中に入り、緑の後ろを着いて行く

亜紀は部屋を見て驚いている



「まさか、こんなところに武器屋があったとは驚きました」


『主に武器を売るが、ここは何でも屋だ。頼めばなんでもやってくれる。殺し以外、だがな』


「本来は武器しか売らねーよ。コイツが勝手に言っているだけだ」




緑は定位置に着き、銃を磨き始めた




『緑、新しく入ってきた武器(やつ)はないのか?』


「ないな。でも、【黒刃】と同じ人間が作った小刀ならあるぞ」


『見せてくれ』



緑は椅子から腰を上げ、立ち上がると壁に掛かっていた小刀を取ってあたしに渡す

受け取り鞘から刀を取り出すと、黒く鋭く光る刃が目に入る



『綺麗』



再び定位置に着いた緑は座ったままあたしを見て言う



「そう言うのは、お前ぐらいだ。それを見た人間は不気味だとか気持ち悪いと言葉を置いて行く」


『不気味だからこそ、美しい』


あたしは小刀の刃を1,2分程眺めて亜紀に渡した