零度の華 Ⅱ




とりあえず、情報よりも亜紀を連れていくことを考えよう



『情報は後でいい。もう1つの目的は武器を買うことだ。見せてくれるよな?』



表向きの探偵事務所では稼ぐのは難しく、そしてココが武器屋だと知る者も少ない

要は稼ぎが少ない分、武器が売れることは緑にとっては嬉しいこと

嫌いな奴ほど金を要求するのが緑のイヤらしいところだ




「チッ、分かった」


情報がメインとなる頼み方に緑は嫌気を示しながらも、嫌々といった感じで了承する


立ち上がり部屋にあるドアを開く緑に続き、あたし達2人も立ち上がり、ドアの向こう側へと歩いて行く

階段を降りた先に見えるドアの前で歩いていた緑は足を止めて、振り返った



「いつも通りにやれ」



一緒にいるのにわざわざやらないといけないのかよ

そう思いながらも、亜紀に説明する手間が省けるからいいかと考えやって見せる


あたしは亜紀によく見とけと意味を込めて視線を送ると、亜紀は気づきあたしの行動を目で追う



ドアを3回叩くと、横で緑がお馴染みの言葉を言う



「最強な矛」


『最弱な盾』


「名は何という」


『名はない』



緑はドアを開き、あたし達客人を先に入れず、自分が先に部屋に入る