零度の華 Ⅱ




4人の中の1人の女はあたし達に笑顔を見せて、前にやってきた



「いらっしゃいませ。今日は、どのようなご用件でしょうか?」


『社長はいるか?』


「えぇ、います。社長に何かご用でしょうか?」


『会って話がしたい』


「少々お待ちください」



わざわざ許可をもらいにいくつもりか、面倒だ

あたしは女が背を向けて歩いて行くのを見て、間隔をあけて後ろから着いて行く


社長室で止まった女はドアを3回ノックし、「失礼します」と言ってドアを開ける

それを待っていたあたしは後ろから無理矢理ドアを開けに行った



「お客様!」


『久しぶり。話がしたい』


あたしを見るソイツは睨みながらも探っている

社長は女社員に「通せ」とだけ言うと、女は「わ、分かりました」と困惑の色を浮かべてドアを閉めて、出て行った


あたしは遠慮などせずソファーに座ると、亜紀はあたしに続き横に座る


「誰だ」


『あたしは客だぞ?そんな言い方していいのか?』


笑みを見せるあたしと、睨むようにしてあたしを見る探偵事務所の社長

そして、ただあたし達を観察するように見る亜紀


異様な空気が漂う