零度の華 Ⅱ





「貴女の本当の名は何ですか?」



亜紀にはあたしの本当の名を教えてない

亜紀もしつこく聞いてくることはなかったから気にしていなかったが、今になって名を聞くか



いや、今だからこそだろう



『狼と書いてロウだ』


「簡単に教えてくれるのですね。私が手紙の主だったらどうするのですか」


『どうもしない』



もう、隠す必要はない

そう、隠す必要はないんだ



『あたしの正体をサツに少しずつ教えていくからな』


「それも、"面白いから"という理由ですか?」


『あぁ。この勝負にサツも巻き込む』



誰が先に誰を見つけるか

あたしか、プログレスか、警察か



今はまず情報が欲しいが、どう手に入れるかだな


ハッキングの腕はあたしよりも上だから、手には入らないのは目に見えている




『アイツのところにでも行くか......』