手紙の内容を読み上げたアナウンサーはテレビに出演している専門家に話を振っていた
専門家は自分の見解や今までのデータなどを交えて、解説をしようとしている
そんな専門家の話なんて耳に入ってこない
「時代に革命を起こす者。零(ゼロ)に勝利する者。なんて、言われていますけど、どうするのですか?」
あたしは一度下を向いた
プログレス、意味は前進や進歩という
あたしを殺して進まない時代を進めるというのか
今までにないほど、血が疼きだし手が震えている
武者震いをしたのは初めてだ
笑みをこぼさずにはいられない
あたしは下げていた顔を上げて亜紀の方へと向ける
『計画変更だ。プログレスの勝負に乗ろうじゃないか。革命を起こすだのあたしに勝利するだの、戯れ言を言えなくしてやるよ』
「楽しんでいますね。しかし、貴女の事を知られている以上、こちらが不利ですよ」
『何も不利なんてことはない。アイツが知っていることとすれば、性別、年齢ぐらいだろう。橘と繋がっていたのなら、知らされた名は偽名でしかない』
あたしの名を知る者はもうこの世にいない



