零度の華 Ⅱ




あたしがいる牢屋まで、さほど時間がかかることはないのに、随分遅い登場をしてきた


部下達に何かを話していたのだろう



カメラに映し出される映像に、部下達は目を光らせているに違いない




少しでもあたしの表情やちょっとした動きなどに異変があれば疑われる


鷹見は牢屋の前に椅子を持ってくると、それに座り鉄の柵越しにあたしと向き合う形をとった



『中には来てくれないのか?距離があっては話しずらい。それにもっと近くにくれば表情の変化もすぐ分かるだろうに。カメラじゃ限界があるだろうから、あたしの近くに来るべきじゃない?』


「人の心配か?自分の心配でもしたらどうだ?」




そうだな、確かにここから出ることが出来るという保証はない


でも、自分の心配をする必要がない


寧ろ、余裕すら生まれているよ