零度の華 Ⅱ



『1つだけ、いいか?』


「何だ」


『勿論、シャワー室にまでカメラは設置されているんだろ?』


「あぁ」


『外してくれ』


「何故だ?左腕に傷でもあるのか?」





藤沢に撃たれて掠めた腕のことを言っているのか


鷹見は零(ゼロ)だと思って話を進めているようだ



確かに3,4日じゃ傷は癒えやしないが、あたしが言いたいことはそんなことじゃない




『情報屋も目を付けられれば傷ができてしまう。傷なんていくらでもある。そんなものはいつでも見せてやる。だが、それとは別に人には誰しも触れられたくない、見られたくないものがある。それ以前に、あたしは女だ』



傷はいつでも見せてやると言ったが、背中だけは見られたくない古傷




そして、まだバレてはいけない刺青

それを見られるのはまだ早い




「......分かった。カメラを取り外す」


『ありがとう。もう1つ、携帯電話とパソコンはお前達に渡せばいいんだよな?』


「抵抗ないのか?」


『今更聞く必要ないだろ。本当は渡したくない。だが、納得してもらうために従うまでだ』