『1つだけ、いいか?』
「何だ」
『勿論、シャワー室にまでカメラは設置されているんだろ?』
「あぁ」
『外してくれ』
「何故だ?左腕に傷でもあるのか?」
藤沢に撃たれて掠めた腕のことを言っているのか
鷹見は零(ゼロ)だと思って話を進めているようだ
確かに3,4日じゃ傷は癒えやしないが、あたしが言いたいことはそんなことじゃない
『情報屋も目を付けられれば傷ができてしまう。傷なんていくらでもある。そんなものはいつでも見せてやる。だが、それとは別に人には誰しも触れられたくない、見られたくないものがある。それ以前に、あたしは女だ』
傷はいつでも見せてやると言ったが、背中だけは見られたくない古傷
そして、まだバレてはいけない刺青
それを見られるのはまだ早い
「......分かった。カメラを取り外す」
『ありがとう。もう1つ、携帯電話とパソコンはお前達に渡せばいいんだよな?』
「抵抗ないのか?」
『今更聞く必要ないだろ。本当は渡したくない。だが、納得してもらうために従うまでだ』



