零度の華 Ⅱ



2人が電話をして10分




やっとここ応接室から動けるようだ

あたしは鷹見とその部下の後を黙ってついて行く



1台の車に乗せられるとあたしを監視する場所まで向かうようだ


ふと、車から流れる外の景色を眺めれば、どんよりとした何ものにも囚われることのない雲が空を漂い地面に光を与えない




車が赤信号で止まった時、窓を少し開けて空気を取り入れれば雨の匂いが鼻をかすめた



さっきまでなかったそれは急激に足を進めたかのよう




『今日は雨か』



ポツリと呟いた言葉は拾われぬ、木から落ちた実のように虚しく感じる



車が走り出したと同時に窓を閉めて、ただただ流れてゆく外の景色を眺めるだけ






不安?

そんなもの感じていない



あるのは興奮し昂る心のみ


あたしはそれを抑えているだけ