零度の華 Ⅱ



部下を宥める鷹見は視線をあたしに向けると、聞き返す



「俺達が憐れで可哀相とは、どういうことだ」


『そのままの意味だ。自由の利かない機械。操縦者がいなければ動くことを許されないロボット』


「何、訳の分からないこと言ってんだ?」


鷹見の部下はあたしを見下すように見てくる



『理解しようとしなくていい。あたしの言うことは所謂、戯言だと思っていればいいさ。それより、ここで無駄話するよりやることがあるんじゃないか?』





あたしに誘導されていることに眉を寄せる鷹見だったが、すぐに切り替えると指示を出す


部下に使える場所を確保させ、鷹見は父親に電話で許可をもらっていた



メールを打とうと携帯電話を取り出すも、電話をしてあたしを見ていない鷹見に目をやって手を止める




痕跡を残さないほうがいいか




そう思い、全ての履歴を消去した後にサイレントにすると、携帯電話の画面をロックしておいた




これで簡単には画面の操作ができないし、見られて困るものはない




削除したものを復元することは容易いだろうが、なんとでも誤魔化しはできる