「はぁ?印鑑は日常でも使うものだ。持っていなわけないだろ。それに、それは親が書くものだ。お前が書くんじゃない」
『親がいない、と言えば?』
眉を寄せる翼
入学の時に必要な書類に書いてあるのは嘘でしかない
母親と2人暮らしや住所なんてものは真っ赤な嘘
その時、印鑑が必要だったため作っていたのだが、あの家は爆発してあたしの部屋や雲雀の家は崩壊している
残っているものなんてないわけで、印鑑もある筈がない
「どういうことだ?」
『ここだけサインじゃダメか?』
「おい、質問に答えろ」
『言う必要があるのか?知りたいのならお得意のハッキングで調べればいい』
悔しそうにする翼を見れば、あたしのことを調べられないと言っているようなもの
お前が情報を入手できていたのなら、とっくにあたしは警察に捕まっている
それより、あたしはこんな話をしたいんじゃない



