零度の華 Ⅱ

『可愛い奥さんにまだ幼稚園児の娘。さぞかし幸せだろ』


「何が言いたい」




あたしを睨む目には、焦りと不安が含まれてる




『お前の愛する者を俺は壊せる』


「そんなことさせない。ここで、お前を逮捕すればいい話だ」




止めたはずの藤沢の足は、再び動きあたしのもとへと向かって来る


さっきよりもスピードが上がっていた




焦っているのか?


コイツを動揺させるのに"家族"というワードは、十分な効果を発揮したようだ






潔く捕まるわけにはいかないから、手錠をかけるその手を避ける



それが2,3回繰り返されると、藤沢は銃を突き付けてきた




『許可は下りているのか?』


「心配することはない。お前は特別だ。零(ゼロ)の時は発砲の許可は下りている」


『俺を殺すのか』


「違う。動けなくする程度だ。僕達は人を殺さない」






殺さない?




いや、殺せないの間違いだろ