零度の華 Ⅱ


「は、く。羽空」



目をゆっくり開けた


そこには亜紀がいる




「時間ですよ」


『あぁ、ありがとう』


「いえ、私は下にいます」




亜紀は部屋を出て行った




体を起こし、胡坐をかいてクシャッと地毛ではない髪を掴んだ






『.........夢、か』





嫌な夢ではないが、心なしか落ち着かない


いかにも現実味が帯びていたから






『予知夢、なんてことはないか』





でも、あたしの前にいた人物は誰なんだ


知っている人物であるが顔が分からない




まぁ、たかが夢だ


気にすることはないだろ






あたしはノートパソコンを持って下に降りる





リビングではテレビをつけて、ソファーに座る亜紀の姿


手にはマグカップが握られている





テレビのニュースキャスターは亜紀が零(ゼロ)となって殺しをした、殺人事件について分かっていることを述べていた