零度の華 Ⅱ




「用件は何だ」



緑があたしに冷たいのは、あたしを厄介者だと認識しているから


関わるとロクでもないことになると思っているらしい




でも、こいつに迷惑かけたつもりはないんだが




「用件がないなら、さっさ帰れ」


『用件ならある。仮面が欲しい』


「仮面?」


『あぁ』


「今更何に使う。それにマスクもやったろーが」


『今すぐ必要なんだ。マスクは燃やしてない』


「は?」




馬鹿にしたような目と怒りの目があたしに向く




完璧な男になるためにはマスクが必要だった


だから緑を訪れ、マスクを売ってくれるように頼んだ



欲しくて買った物を燃やしたと言えば、誰だって何やってんだと思うのも無理ない




「燃やしたってどういうことだ」


『それは後で話す。まずは仮面だ。早急に頼む』




あたしを映していた緑の目は、ナイフへと変わりそれを磨く