零度の華 Ⅱ



今では、人1人すら寄り付かない有り様だ



『こんな所を拠点とするなんて、馬鹿らしい』



本当にあたしを神かなんかと思って崇めているわけ?

それとも悪魔として?




あたしは人の気配を感じるもここから動くことをせず、ただただガラス窓に描かれた祈りを捧ぐ女の人を見ていた



外が暗いため、その女の人の形は見えても表情までは見えやしない





だんだん、近づいてくる人の影


そして、懐中電灯の光が後ろからあたしを照らす




「き、貴様!!何者だ!」



あたしの真正面には、光が当てられてできたあたしの影と、ガラスに描かれた女の人




表情が露わになった女の人は、不気味に笑っているように見える





「おい!き、聞いているのか!?」



煩い声に振り向く


全身黒づくめにフードを被っているので不審がっている





『お前はシークライト軍の構成員か?』


「そ、そうだ。それがどうした!」



恐れているから声を張り、大きく見せているのだろう


あたしには煩いだけ