「零(ゼロ)のお墨付きをもらえるとは嬉しいね。でも、確実に勝者になるために君が欲しい」
『俺は手を貸す気も、組織に入る気もない。それと、しつこいのは嫌いだ』
「あー、振られちゃった。もう、勧誘しないよ。次は仕事じゃなく遊びに来るといい」
『あぁ、分かった。じゃあな』
携帯電話を自分の横に置き、ソファーに寄りかかる
ただ、ボーっと天井を見つめているだけ
15分した時、ガチャリと玄関が開く音が聞こえた
「零(ゼロ)、起きていたんですね」
リビングに亜紀が入ってくる
手に握られたビニール袋の中身は食材が入っていた
今まで買い物に出ていたのか
『亜紀』
「ん?何ですか?」
『零(ゼロ)と呼ぶのは仕事だけにしてくれ。違和感がある』
仕事以外で零(ゼロ)と呼ばれるのは慣れていない
「分かりました。では、羽空でいいですか?」
『あぁ』



