背中に住む大きな傷が疼く
気分が悪くて吐きそうだ
ネットを閉じ、携帯電話を握る手に力は入った
「羽空?」
名を呼ばれ我に返る
亜紀の手にはトレーが握られ、その上にはハンバーガーとドリンクが並んでいる
「大丈夫ですか?顔色が真っ青ですよ」
『問題ない』
どれだけ、雲雀や雲雀の父親に恐怖を刻み込まれているのかが分かる
怒りをぶつける相手がいないことにやるせない
「何かありましたか?」
『いや、何でもない』
「そんな顔に見えませんよ」
『ほっとけ』
話せば、あたしの弱みを握られることになる
そこまでするほど、あたしだって余裕はない
あたしは渡されたドリンクを1口飲む
どうやら中はコーヒーのようだ
苦味が口に広がり気を紛らわしてくれる
コーヒーのお陰で、少し心が落ち着きを取り戻した



