零度の華 Ⅱ






「ご自分で選ばないのですか?」


『面倒』


「好みなどはないのですか?」


『ないな。そういうのは疎いし、仕事や気分によって服装は変わる』


「仕事にオシャレをするのですか?」


『たまにな』




殺しを毎回、真夜中にやっているわけではない


一度、相手と親密になって殺す時だってある




1回で殺してしまうのは簡単過ぎてつまらない、と感じる時は気分で3~4日間かけて殺す






「お待たせしました」




女の店員はあたしのもとへ戻ってくると、亜紀に視線を移す



応じるように亜紀は店員に向かって、営業スマイルをしていた


女は好奇の目を向ける




「あ、選びましたので着ては貰えませんか?変更がでてくると思いますので」




あたしのことを忘れていた店員は試着するよう促す



店員が持ってきた服の中にスカートがあるのが見受けられた