零度の華 Ⅱ





今まで忙しく気にしていなかったが、もう年が明けて2月の中旬



まだ体の芯から冷えるわけだな


車内から外を見れば、平然としている人間達が映る




『......名前』


「名前?」




ふと、思い出して口に出していた




「名前がどうかされましたか?」


『外で零(ゼロ)や烏(クロウ)なんて呼べねぇだろ?』


「呼び名が必要というわけですね」


『あぁ。あたしは羽空でいい』




新しく考えるのも面倒だし、耳が慣れているから




「私は亜紀で構いませんよ」


『本名だろ』


「零(ゼロ)に私の本名は知られてしまっているので、今更偽名を使う必要はありません。それに誰も、私が殺し屋だと外見では判断できませんよ」




確かに、外見だけじゃ何も分かりやしない



だが、中にはオーラを感じることのできる人間がいる