零度の華 Ⅱ




シトラス系の香りがあたしを包む


烏(クロウ)の匂いだな



そんなこと思いながら、あたしは出掛ける準備を着々と進める


烏(クロウ)に本当の姿を見られぬよう、黒のショートのウィッグと黒のカラコンをしていたのを外す




銀色のショートの髪に紫の目



その上から黒のロングのウィッグに茶色のカラコンをする



ウィッグやカラコンなどはカバンに詰め込んでいるが、必要最低限しか持ってきていない


手元にあるのは黒と茶色のウィッグとカラコンのみ




あとは部屋と一緒に消してある




軽く化粧を済ませ、リビングへと向かう


烏(クロウ)も着替えてソファーに座って携帯電話を弄っていた




気配に気づいた烏(クロウ)はあたしは目を合わせると、ニコリを笑う




「では、行きましょうか」



あたし達は家を出て、烏(クロウ)の車に乗り込んだ



行き先は大型ショッピングモール


それが無難だしな