『雲雀、言ったはずだ。必要のないものは捨てろと。その感情はいらない』


「人間であるために必要な感情だ。人間の想いっていうのはちっぽけだが、大きな力となる」


『座右の銘か?あたしには分からん。人間捨ててるようなもんだからな』


「狼。お前、可哀相だな」


『あぁ?』




あたしは眉間に皺を寄せる


あたしが可哀相だって?



人より自由にこの世界を楽しんでいるあたしが何故、可哀相だなんて言われる




自分の好きなように、赴くままに生きているのに何故?





「人間は悩んだり、後悔したり、誰かを強く想ったり、愛することだってできる。道を間違えても正してくれる人が周りにいる。楽しいことばかりじゃないが、それが人間であり人生においての醍醐味だと思う。それを知らないお前が可哀相だ」


『随分、表の世界に馴染んでいるな。そんなもの分からなくていい。あたしが可哀相だって?あたしは一度も、自分を可哀相だなんて思たことはない』




あたしは雲雀との距離を縮める


手を伸ばせばいつでも殺せる程、近く