零度の華 Ⅱ

銃弾を全て避けることが出来ず、脚や腕を掠めた


それでも臆することなく鯱(オーカ)に向かっていく



距離を詰め寄り、銃を持っている腕を刺す




「うわあぁぁぁぁ!!」


呻き声を上げながら膝を地面につき、手から銃が落ちていく



刺された腕を抑えながらあたしを下から見上げる





鯱(オーカ)は接近戦に持ち込まれると、何もできない


苦手というだけであって、喧嘩ができないわけではない


そこら辺のヤンキーなんかと比べたら断然強いが、相手があたしでは勝ち目がないのを馬鹿でも理解している



『お前、あたしの事好きだったんだろ』


「は!?な、なんで、惚れなきゃならない!」



桜(チェリー)であるとき、密かにあたしを見ていたのを知っていた


それに入った当初、いやもっと前か?

施設が同じだった時も見られていたな



桜(チェリー)が死んだって聞くと、仕事で気を紛らわしていたことも知っている