「すーばる!」
後ろから呼ばれ振り向くと、そこには同じピアニストを目指している大島 翔 -Oshima Kakeru-がいた。
「翔か…。」
翔は『美術室の天使』の話をしている周りのヤツらを見て
「すげぇよなー。『美術室の天使』。まぁ、あの美術コースに入ったってだけで、一目置かれてるよな」
と言った。
「興味ねぇな」
「ははっ。昴らしいや。俺は気になるけどね。こういう謎って解きたくなるんだよ」
「俺はピアノにしか興味無いね」
って言ったら嘘になる。
小学校5年生の時、あの子と出会って、俺は幼いながらに恋をした。
人生初の一目惚れ。
あれからあの子のことが頭に焼き付いてはなれない。
