ふと鉛筆が止まったかと思ったら、スケッチブックを閉じて、片付け始めた。 そして、俺らに向かってお辞儀をして去っていった。 俺らは彼女の姿が見えなくなるまで一言も喋れずにいた。 沈黙を切ったのは隣の部屋から聞こえてくるピアノだった。 「やっべ…動き止まってた…。」 そういう翔の顔はほんのりと赤い気がする。 そんなこと言ってる俺も、顔が熱い気がする。 正直いって、見惚れていた。 今思えば、この瞬間から俺は彼女に惹かれていたのかもしれない。