ここでふと、私は思った。

 …拓也の恋人って、どんな人物だろう?…って。

 そんな矢先である。

 別の大学に通う高校時代からの友人・倉沢雅美から久しぶりの電話で、私は森山拓也の事で思わぬ事実を知る。

「元気ぃー? 色々と忙しかったー!」

 スマホの向こうから聞こえて来る雅美の元気な声に、私はスッキリした気持ちになっちゃう。

「アンタが住んでいるマンションに痴漢が現われて、大変だったみたいね?」

 雅美の住む学生向けマンションに半年前、女性の下着を盗もうと忍び込んだ男が警察に捕まった事がニュースになっていたのだ。

「まあね。私も警察から色々と事情聞かれて大変だったよ」

「そっか」

「美香の方は調子どう?」

「うーん、まあまあってトコかなー? 何とかやっているからー」

「彼氏、出来た?」

「彼氏? ええっと」