都内・某所…、

 森山さんは蒼から電話を受け、指定された場所へ1人で訪れた。
 この辺りは工場と倉庫が立ち並ぶ下町。
 バブルの時は活気が溢れていたみたいだけど、今では廃墟となっている。
 無人状態だから、昼間でも静かな場所なのだ。

 指定された場所は色々な機械が放置されたままの広い工場内で、出入り口は施錠されていないから自由に出入り出来る。
 至る所に壁にはスプレーとかでの落書きがしてあるし、コンクリート面の床には沢山のゴミ(飲料水の空き缶やペットボトル、菓子やパンの袋、カップ麺の空の容器とか)が散乱している。

 中に入った森山さんは立ち止まり辺りを見回した。
 私は心配気に遠くから様子を見始めた。