目には見えない壁の向こうでは2人の殴り合い、掴み合いの激しい喧嘩が続いていた。
 闘志剥き出しの野獣同士が荒々しく戦っているような光景が繰り広げられている。
 狂ったように格闘する拓也とアキトに美香は壁を叩きながら叫び続けるが、全く声にならない。

 そこへ蒼が美香の側へ歩み寄って来た。

「邪魔しないでくれますぅ?」と声をかけた蒼。

「!?」

 振り返った美香の目に映ったのは、クールな眼差しの蒼の顔である。
 腕組みをしたまま蒼は言う。

「アキトと拓也は、この私の為に命を掛けて戦っているのですから。つまらないバトルじゃない。私への愛を誓う神聖な格闘技なのですわ」

「!」

 美香は激しい怒りの目を蒼に向けた。
 蒼は悪魔のようなクールな目で美香を見下している。
 美香は蒼に話しかけようとするが、やはり声は出ない!

 蒼はニヤリと微笑み、視線を男2人の方に向ける。