本鈴がなり、先生も教室に入ってきたので公ちゃんは前に向き直ってしまった。

あたしは授業の内容もろくに聞かず、ノートの一番後ろのページちぎりとって、たまに来栖くんをちらちらと見ながら戦略を練る。


来栖くんのヒロインになるということ、それはイコール『来栖くんの恋人になる』ということ。


この可もなく不可もない凡々の女が、学校一の美青年を惚れさせなければいけない。


………いや、今までも好きになってもらいたいっていう気持ちがあったから来栖くんの周りをうろちょろしていたわけなんでけれども。

だめならだめで「そりゃそうか」の一言で諦めがついてしまうほど、あたしと来栖くんは月のすっぽん。



ぽんなあたしがお月様を陥れるために昨日徹夜して考えた作戦。


それは。