じっと来栖くんがあたしを見つめる。
そんな彼の瞳に、胸をドキッとさせている場合ではなかった。
「それじゃ、あたしは来栖くんの何なの!?」
「奴隷」
「はぁあ!?」
「山田は俺のために身を粉にして働けばいいんだよ」
「あたしにメリットないじゃん!」
「当然だろ。それが嫌ならやめてもいいんだぜ?」
「でも…、そうしたら俺に関わるなとかそういうこと言うんでしょ?」
「山田のくせによく理解できてる」
「ムッキー!」
「ゴリラからサルに生まれ変わったのか?忙しいな、人外は」
はははと乾いた笑い声で馬鹿にしてくる来栖くんに、香水を連続プッシュして振り撒いてやった。
女の子にゴリラとかサルとかデリカシーの欠けらもない王子様なんてありえない!むかつく!
それ以上に、離れろ出ていけなんて言いつつも、あたしをいじって楽しんでくれてることがなにより嬉しい!
「頑張って来栖くん好みになるね!」
「勝手にやってろ」
しつこく来栖くんに話しかけて時間を稼いでいるうちに、イルカショーが終わったらしく、黄色い帽子をかぶった小さな幼稚園児たちが周りを駆け回る。

