だって、あたしはヒロインだし?
みんなよりも確実にリードできている来栖くんとの関係をもったことで、そんな心の余裕がどこかにあった。
「クラゲって不思議ね。海にいると気持ち悪いけどこうして見ると愛らしい…」
「触りたくなるよね」
「それはない」
「それも共感してよ!」
あたしは別にクラゲに対して愛らしさは感じてなかったけど、公ちゃんの言葉に乗ったのに、どうして合わせてくれないのかな!?
公ちゃんの妙なテンションに置いてきぼりにされながら、歩き回っていると。
《午後2時より、イルカショーを開始いたします。観に来られるお客様は…》
「イルカショー!?」
「ちょっと、急に大きな声出さないで…」
「やばいよ公ちゃん!イルカショーだって!見に行こ!みんなも見に行くみたいだしさ!早くしないと後ろのほうになっちゃうよ!」
「えぇー…あたしは別に…」
「何言ってんの!クラゲ見てイルカ見ないわけにいかないでしょ!?ほらほら!」
往生際の悪い公ちゃんの足を無理やり動かすように背中を押して、イルカショーが開催されるところへ目指す。
近くなるにつれてお客さんもぞろぞろと集まる。