来栖くんに言われた通り、図書室を閉めて鍵を職員室に返してから昇降口へ向かった。


お尻が、お尻が痛い。

集中してたときは気づかなかったけど、ずっと座りっぱなしだったからすべて終わったあと、嬉しさのあまり立ち上がったら、まるで生まれたての子鹿のように足が自由に動かず。


それからはお尻の筋肉が鉛のように重くて、ぴくぴくする。



「…お腹すいたし、早く帰ろ」



校舎にはほとんど生徒が残っていないからか、しんと静まり返っていた。


そこであることに気づく。


もしかして、来栖くんが学校から帰る姿を見たことがないのはさっきみたいに先生から頼まれた仕事をしていたから?

あの日だって、あたしは他の生徒が帰っていった時間まで待っていた。


そして、来栖くん現れた。


来栖くんとの特別な関係を繋ぎ止めれるであろう新たな情報に、フフフ…と気味の悪い声を囁いて、自分の下駄箱を開ける。


ん?なにこれ?


中にはもちろんあたしの靴。
それと何故かミニボトルのフォンタグレープジュースと半分に折られたメモ用紙が添えてあった。

とりあえずメモ用紙に書かれてある内容を読んでみる。


『お疲れさま』


綺麗な文字で、そう書いてあった。