しかし、来栖くんの異常な人気っぷりは相当なもので、休み時間の合間に来栖くんを囲う女子の群れに混ざるのがやっと。


このままじゃいけないっていう危機感はあるものの。



「耀!」


「あ、文香(ふみか)」


「今日の体育さ、男子はバスケやるんだって!来栖くん見に行こうよ!」


「うそ!行く行く!」



打開策は未だ模索中なのだ。



「早く体操服着替えないと良いポジションとれないよ!」


「わーっ、待って待って!すぐ着替える!」



来栖くんの取り巻き仲間兼戦友の文香は、手を叩いて体操服を被るあたしを急かす。猛スピードで準備を終えると、文香と一緒に体育館まで全力疾走した。


着いた頃には、授業開始前なのにもお構いなしに来栖くんのバスケ姿を目当てのギャラリーがぞろり。

遅かったか…!



「おい女子!お前らはテニスだろ!」


「うっさいな!」


「こんな暑いときにやってられるかよ!」



体育教師が怒鳴り声をあげるが、大ブーイングが飛び交う。

女子様を怒らせると怖いぞ、先生。
と思いながらも、あたしも来栖くんのバスケ姿見たさにその集団に加勢し、野次を飛ばしてやった。