わかりきったことだけど、来栖くんはよく目立つ。

そのため、なるべく誰にも見られないように科学準備室へと辿り着いた。


鍵は開いていて、誰もいないことを確認してから、部屋の鍵を内側から閉める。
ついでにカーテンも全部閉じておいた。



「昨日のことなんだけど!」


「……………」



密室になった途端、来栖くんの顔つきが変わる。

その切り替えの早さに恐怖を覚えながらも、怯まずに続きを話した。



「来栖くんが実は腹黒い最低な男っていうのは、みんな黙っておいてあげるから、あたしと付き合って!断ったらバラすから!」


「………それで俺の弱みでも握ったつもり?」


「だって来栖くん、そのこと知られたら困るでしょ!」


「困らないよ」



来栖くんはふっと鼻で笑って、椅子に腰を下ろし、足を組む。


うおぉ…、本当に裏表の激しい王子様みたいだ。
さらに頬杖をつくところとか、俺様感が半端なく伝わる。なかなか最高だ。



「って、困らないってどういうこと…?」


「そのままの意味だけど。それとも、低能な馬鹿にはその意味すらわからないのか」


「おお…」



なんだこの少女漫画みたいな毒舌美青年は。