混乱するあたしを嘲笑うかのように、来栖くんは不自然に口角を上げる。



「自分だけは特別だって、妄想に浸る痛々しい女の無駄話に付き合うつもりはないから。

俺じゃなくても、顔が良くて成績優秀で運動神経がいい男だったら誰でもいいんだろ?」


「な…」


「その手紙も、全部いらないからついでに捨てといて」



山のようにあるラブレターの上にあたしのラブレターを置き、冷たい視線でこちらを見下ろしたあと、颯爽と帰って行った。



かっこよくて、優しくて、完璧な王子様。

それが来栖くんじゃなかったの?


女の子には重いからってノートを全部持ってくれた紳士な来栖くんはニセモノで、あの不愛想で人が一生懸命書いたラブレターを馬鹿にした最低な男が、来栖くんの本性…?



腹黒で、裏表が激しい、来栖王子。






「………それはそれで美味しい!」



だってあたしは知ってしまった。


来栖くんの、裏の顔を。