この学校内で彼を知らない者はいないほど有名な来栖くん。


スウェーデンと日本のハーフである親をもつ、いわゆるクォーターというもので、少し日本離れした端正な顔立ちに、どこか透明感のある黒い瞳。
さらに特徴的なアッシュブロンドの髪色は神々しい。


身長はおよそ183センチで、驚異の9頭身というモデルも顔負けのスタイル。


まるで王子様のような美しい容姿を持ち合わせているのにも関わらず、
それを鼻にかけない紳士な性格で、あたしたちの熱を上昇させている。

そして、完璧なのは見た目だけじゃない。

もちろん成績は優秀、運動神経も抜群。

先生からも頼りにされる、まさに本物の『王子様』。



「はあ、あたしのこと好きになってくれないかなぁ」


「無理でしょ」


「なんで即答!?」


「だって、耀(よう)は全てにおいて平均的じゃん」


「あのね公ちゃん。漫画でもアニメでも小説でも、今はもう可愛い子だけがヒロインになれるっていう概念はもうないんだよ!普通の子でも美青年と結ばれてるの!」


「それは二次元の話だよね」


「ちっちっち。二次元と三次元の世界を隔てているのは液晶画面だけなんだよ」


「へーえ、そう」


「そうなの!」



だから、来栖くんを初めて瞳に映したときから決意していた。


あたしが、来栖くんのヒロインになってみせるんだって。