今をときめく女子高生の一日は忙しい。


化粧をばっちり決めて、髪型も可愛くアレンジして、鏡とにらめっこして最終審査を通過したあとは。



あたしを待つ王子様のもとへ。



「来栖くんおは、」

「すごーい!ここあたし解けなかった!」

「何でも解けちゃうとかカッコイイ!」

「ほんとに完璧だねっ」



よ。


黄色い声で掻き消された挨拶の残り文字を心で呟くことなんか、別に珍しいことじゃない。



「………そんなことないよ。でも、ありがとう」



この完璧な美青年、来栖(くずみ)くんの前では。



「「キャーッ!!」」



薔薇の花がポンポン周りに咲くんじゃないかってくらいの眩しい笑顔に、叫ばずしていられないであろう。



「もう超かっこいいんだけど!」


「はいはい」



予鈴が鳴り、自分の席について早々、冷めやらぬ興奮をとなりにいる公子(きみこ)にぶつけていた。

興味なさげに相槌を打つ友人に、むっとする。



「公ちゃん、ほんとにやばいんだってば!」


「聞き飽きるくらい耳にしてるからわかってるって」


「来栖くんに興味湧かないの!?」


「湧かない」


「おかしい!」