葉月が美伊子の背中をさする。


大丈夫だよ、とみんなが声をかけ始めた。


あたしもおもむろに美伊子に労いの言葉をかけた。


けれどあたしが気にかかっていたのは、先ほどの美伊子の一言だった。


『たぶん、ノエルが可愛いから、それを疎ましく思った誰かがやったんだと思うの』。


何か大切なことを忘れているような気がした。


思い出さなければならない、胸につっかえたなにか...。