【沙彩side】

私は今、中学の入学式をしている。それなのに、私は中学生ではない。


どういうことかって?フフフ…。


私は未来(10年後)からやってきた未来人。中学時代、やり残したことをやりに来た。


────告白するために。


そう、私は幼稚園の時から片思いしている、結城 一颯 〈ゆうき いぶき〉に告白するのだ。


私は中2の春、親の都合で転校することになる。その後は、もう一度も…。


私が働いていた研究所では、タイムリープの研究をしていた。その努力がようやく実った。まだ試作品らしく、こっちに戻ることができるのは1年。もしかしたら、縮まることもあるらしい。


私の右腕にある、青白い腕輪。これがタイムリープ装置。使い捨てなので、効果が切れると消えてなくなるらしい。これを作った博士自身、まだよく分からないらしい。何せ、まだ試したこともない……試したことはある。ただ、私たちに話せる体ではなかったからだ。


でもこうして中1をやり直すことが出来た。博士には感謝してもしきれない。


だが、注意することがある。


────歴史を変えてはいけない。


それだけは博士からキツく言われた。もしかしたら、私の存在が無くなる、消えてなくなるかもしれないとのこと。


まさに、ハイリスクハイリターンなタイムリープだ。タイムリープという未知の可能性に、知的好奇心を擽られた。



「私のクラスは…と」


忘れることのない、B組だ。一颯と同じ。ここから私の1年間が始まる。


視界の隅に見覚えのある顔が見えた。