「あら、ちょっと付き合ってくれるだけでいいのよ?」
今野先輩はあまりに素っ気ない武久を口説き落とすために、可愛らしく小首を傾げてウインクしてみせた。
(嘘だ……。絶対に既成事実に持っていく気だ!!)
マドンナの純粋な下心が私にも伝わってきて、背筋がぞぞぞと震えてしまう。
(純粋な下心ってなんだ、意味わからん!!)
どうやら私も随分と混乱しているようだ。
「そういう気疲れのするところ、苦手なんで遠慮しときます」
あくまで防御に徹する武久に対し、マドンナは猛攻を仕掛けていく。
「ねえ……お願い……武久くんしか付き合ってくれる人がいないの……」
マドンナは潤んだ瞳でここぞとばかりに武久の左腕にしなだれかかった。
(あ、おっぱい)
必殺、女の武器。
おっぱいという名の膨らみをわざと腕に当てるなんて確信犯もいいところである。
……襟の合わせから見える魅惑の谷間に誘惑されてしまうのは男の性なのか。



