「担当者レベルでは好感触でも、その上の上層部からはねられたら意味がないんだよ。奇抜な案も良いけど、もう少し抑えめに頼むよ。あそこの会社は保守的なんだ」
抑えめにって……!!
「私は……!!クライアントからの要望に応えたつもりです!!」
若い世代が目を引くような色使い。
それでいてファザードはシンプルな曲線。
コンクリートの重厚さと木造建築の親しみやすさの調和。
ストリートの看板となるような新しいファッションビルを作りたいっていう担当者の熱意に後押しされるよう一生懸命考えたのに……。
(どこがおかしいのっ!?)
反発するように睨み返しても、部長は私の甘ったれた感情には耳を貸してはくれなかった。
「後任は別の人間に頼むことにする。すぐに引き継ぎの準備をしてくれ」



