御曹司を探してみたら


ちょっといいかと声を掛けてきた部長とともにミーティングルームへと移動することになり、胸に不安がよぎる。

(何だろう……)

ちょっとした連絡事項ならその場で伝えれば済む話なのに、わざわざ場所を変えるなんて仰々しい。

「君が担当した案件でクレームがきている」

「クレームですか……?」

単刀直入に部長が用件を切り出すと、私はひどく狼狽してしまった。

スライドに映し出されたのは、つい先月まで私が担当したとあるファッションビルのコンセプト案だった。

「でも!!これはクライアントにも非常に好感触で……!!」

“これで行きましょう!!”って担当者の方からもお墨付きをもらっていたはずだ。

(今更?何で!?)

頭の上にいくつもクエスチョンマークを浮かべて訴えると、部長は苦々しい表情を浮かべた。