意匠設計部恒例月一のミーティングの準備と後片付けは、意匠設計部の全社員が持ち回りで行うのが通例である。

……まあ、大体たらいまわしにされた挙句に、私達のような下っ端にお鉢が回ってくる。

円形に配置されていたテーブルを元のように教室スタイルに並べ直すのは結構な重労働で、いつも終わる頃にはやれやれと息をついてしまう。

「先にこっちを片付けてくるから、あと拭いといてね」

「ほーい」

わかっちは回収したカップホルダーを手早くトレイに載せると、先に給湯室へと向かった。

テーブルをふきんで軽く水拭きして、キャスター付きの椅子を元の場所に移動させていると、突如ガタンと座面が揺れた。

床を確認すると、何か棒状のものに乗り上げてしまったようだった。

(なんだろう……)

不審に思って拾い上げてみると、光沢のあるブラックの軸をゴールドパーツで仕上げた万年筆だった。