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「え！？井上くんって結婚してるの！？」
「はい。大学時代の彼女と去年、結婚式も挙げましたよ」
「うっわ～！！そうなんだ！！」
井上くんの意外なプライベートを知ったことで、私は興奮して久々に甲高い声を上げてしまった。
最終プレゼンが終わるとブース内のある種殺伐とした雰囲気も柔らかくなり、仕事の合間にこうして談笑する余裕も出来たのだった。
「写真見ます？」
「見る見る！！」
食い気味でそう答えると、井上くんはデレデレとだらしない表情で目尻を下げながら携帯を操作していく。
というか、見せたくてたまらないんだな。
「はい、うちの奥さんでーす！！」
井上くんがドヤ顔で見せてくれたのは結婚式で撮ったと思しき集合写真だった。
中央にはトレードマークの眼鏡を外しやや緊張した面持ちの井上くんと、茶色いウェーブボブヘアに白とピンクの花冠をちょこんと載せた小柄な奥さんが映っていた。
……控えめに言っても、超かわいい。
私は妖精さんのようなその可憐さに声も出さずに、ひとりで悶えたのである。
こんなに可愛い奥さんがいるなら、仕事も頑張っちゃうよなあ……。
やるな！！井上くん！！
