「田辺さんと武久のお姉さんは一目会った瞬間、恋に落ちたロミジュリ婚ってこと……?」
「んなわけあるか!!」
私の会心のボケに対して、武久から間髪入れずに突っ込みが入る。
ですよね!!
ちょっと言ってみたかっただけです……。
「壱は恐ろしく頭の回転が速い奴だ。自分に都合が良いように姉貴に結婚を無理強いしたんだろ。許せねえよ……」
「そっか……」
武久の怒りはごもっともな話で、私はそれ以上口を挟むことができずうさぎを撫でるしかなかった。
ねえ、武久……気づいてる?
捨て猫を託したってことは、田辺さんなら最後まで責任もって飼ってくれるって信頼していたってことだよ?
互いに毛嫌いしながらも心のどこかが通じ合っているあの二人は、なんとなく似ているような気がした。



