「なんだよ?」
「武久と猫の組み合わせが、似合わなすぎる……」
「笑うとこじゃねーだろ!!」
いかにも猫が似合いそうな甘いフェイスのイケメンならともかく、目つきの鋭さなら天下一品の武久が猫の顎をコロコロ撫でているんだもん。
お猫様の方も気持ちよさそうに目を細め、眠たげにあくびをしている。
「慣れてるよね。飼ってたことあったの?」
「ガキの頃、捨て猫を拾って2週間ぐらい世話したことがある」
どうやら見捨てられた動物のお世話をしてしまうのは、誰もが一度は経験する通過儀礼らしい。
私にも少なからず心当たりがある。
「まあ、うちは姉貴の身体が弱い上に、動物アレルギーでペットは禁止だったから結局、壱が飼うことになったんだけどな」
え、田辺さん?
「武久と田辺さんってそんなに昔からの知り合いなの?」
てっきり武久のお姉さんとの結婚がきっかけとばかり思っていたが、違うのだろうか。



