「し……幸せ……」
幸せすぎて涎が垂れそうになる。
うさちゃんは私の腕の中で大人しく、ふんふんと鼻を震わせている。その仕草の愛らしいことといったら……辛抱たまらん!!
可愛いよう!!可愛いよう!!
うちに連れて帰りたぃぃぃぃ!!。
幸せ指数が急上昇していくのがわかる。
さらなる幸せを教授すべく額から背中にかけて一心不乱にひたすらナデナデする。
一方、武久はというと……。
「うにゃあ~ん!!」
顔がやや中心に寄っている、ふてぶてしさたっぷりの茶トラの猫にすり寄られていた。
「なんだよ。抱っこしてほしいのか?」
武久がそう尋ねると、お猫様はさも当然とでも言いたげににゃあと鳴き返した。
世の中の酸いも甘いも知り尽くしたような、なんとも言えない落ち着きである。
「ほらよ」
お望みどおりに抱き上げられると、お猫様はちょろいぜと言わんばかりに満足げにしっぽを振った。
武久の面倒見の良さを見抜く慧眼、恐れ入ります。
「ふふっ」
お猫様を抱き上げるしかめっ面の武久の絵面が意外過ぎて私は思わず笑いだしてしまった。



