「早宮、寝るならベッドで寝ろよ」

「はーい……」

目を瞑ってウトウトしているところを見咎められ、渋々ソファから起き上がる。

武久は武久で私が田辺さんのチームに加わってから、どこかツンケンしていて取り付く島もない。

……気まずいったらありゃしない。

(あ~っ!!ストレスが溜まるっ!!)

せめてもの気晴らしにと、抱えていたクッションをグニグニと縦に横に手で押しつぶす。

そうやって気を紛らわせていると、武久が首の後ろをポリポリと掻きながらもの言いたげにこちらを見ていた。

「なによ?」

「煮詰まってるなら気分転換でもするか?」

武久は財布からチケットを2枚取り出すと、私に渡してきたのだった。

「どうしたの?これ……」

渡されたチケットを食い入るように見つめる。それは、都内にある小さな遊園地の招待券だった。

「友海にもらった。金は払えないからその代わりだとよ」

まさかの現物支給なのね……。

緒方さんも遊園地の招待券2枚でチャラになるとは思ってないだろうが、さすがにタダ働きでは心苦しいということなのか。