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ゆっくり話せる場所はないかと辺りを見回すと、繁華街の片隅に公園があるのを発見した。
遊具は1つしかなく、他には申し訳程度のベンチが設置されているのみだ。
私はベンチに座って武久がコンビニから戻って来るのを待った。
「ほら」
武久は右手にぶら下げたビニール袋から缶コーヒーを取り出すと、私に投げて寄越した。
朝もやの中、缶コーヒー片手にベンチで一息なんておつなもの。
「ありがと」
プルタブを開けて一口飲めば、コーヒーの苦みが寝不足の身体にはちょうど良い。
武久が自分の分の缶コーヒーのプルタブを開けながらドカリと隣に腰掛けると、少しの緊張が走る。
白々しくコーヒーを啜る音だけが公園内に響く。
「早宮は俺が社長に向いていると思うか?」
先に口火を切ったのは武久の方だった。
……返事に困るような質問をしてくるなよ!!と、文句を言ってやりたいがそこは我慢だ。



