「あいつらが味方とか笑えねーよ!!都合の良い時に呼び出して、あれこれ理由をつけてタダ働きさせられるんだぜ?」

茶化しにかかる私を無視し武久は憤慨しているということを固辞した。

口ではいくら嫌だ、迷惑だとわめいていても無駄なんだから。

……武久はきっと断らない。

本当に嫌だったら仕事の合間を縫ってまで、わざわざカルテットまで出向いたりしないもんね?

緒方さん達には負けるだろうけど、私だってそれなりに武久とは付き合いが長いんだ。

だからこそ私の知らない武久の顔が見え隠れすると、ぎゅうっと胸が苦しくなる。

「武久は……緒方さん達と一緒に働きたくないの?」

意を決して尋ねると前を歩いていた武久の足が止まった。

「それとも周防建設の社長になりたいの?」

振り返った武久の鋭い瞳に射抜かれて私は少したじろいだが、それでも続けた。

「ねえ、なんで……御曹司だってこと隠してたの?」

今度こそ逃さないように武久のシャツの裾をぎゅっと掴む。

「ちゃんと聞くから教えて」