(追いついた……!!)
マンションのエントランスを出てすぐ、武久の小さい後ろ姿を発見することが出来て、ホッと胸を撫でおろす。
途中でタクシーに乗られたら完全にお終いだったが、運の良いことに武久は電車で移動するのか駅へと向かっていた。
つかず離れずの距離を保ちつつ、こっそり尾行していく。
もちろん、正体がバレないように変装も忘れない。アラブの貴婦人のように頭をすっぽり隠すようにストールを巻いて、さらに伊達眼鏡をかける。
……我ながら怪しさ満点である。
散歩中のワンちゃんにもキャンキャンと激しく吠えられたが、気にしないことにする。
尾行に気づかれることなく無事に駅に到着すると、地下鉄の改札を通り抜ける。
都心とは逆方面のホームに降り立ち、待つこと数分。
到着した電車に武久が乗り込んだことを確認し、私も隣の車両に飛び乗った。



